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「言うことを聞けない子は病院で大きな注射を打ってもらうよ!」と小さい頃に言われたことのある親御さんもいるでしょう。昔も今も注射は子どもたちにとって嫌なものの代名詞かもしれません。私は医師になってから患者さんにたくさんの注射を打ってきました。しかし、毎年のインフルエンザ接種ではもちろん私も例外ではなく・・・いまだに刺される前のほんの一瞬、胃がキュッとなるような緊張を味わいます。
注射のストレスを減らすためには、「プレーパレーション(事前の説明)」が有効です。
親御さんのなかには「先に注射の話をすると、かえって怖がらせてしまうのではないか」「まだ小さいからお話しても分からないだろう」と思われる方もおられるかもしれません。でも、これから起こることをあらかじめ話してあげることで、「何がおこるのかわからない」恐怖を取り除いてあげられるのです。
あらかじめおうちでお話して、覚悟してきたつもりでも、家を出ようとすると急に行かないと言い出したり、入り口でくるりと方向を変えて駆け出したり、診察室に入ると「待って!」と言ったり・・・よくあります。そして、覚悟が決まるまで時間がかかることも多々あります。そんな場合は子どもなりの方法で納得し、乗り越えようとするのを待ってあげたいと思っています。でも、「ちっくんはないよ」と連れてこられた場合には、裏切られたという感情が先に立ち、覚悟が決まる可能性は限りなく低いでしょう。
私たちは子どもたちに注射の必要性、方法を説明します。どうして注射しないといけないのか、じっとすることがどうして大切なのか。
おうちで「明日、注射をしにいくよ。○○ちゃんの体を悪い病気から守るために必要なものなんだ。少しチクッとするけど、じっとしていればすぐに終わるよ。」と、目をみながら静かなやさしい声でお話してあげてください。怖がって泣くかもしれません。「でも、お母さん(お父さん)がずっと抱っこしているから、心配はいらないよ。泣いてもいいんだよ。」とゆっくり言い聞かせてあげてください。前日のゆったりした時間帯に抱っこや添い寝しながら・・・、大きな子はお膝に座った状態でもいいと思います。ちなみに我が家は「来週土曜日、注射にいくよ」と話してしまい、その後、「土曜日、いつ?今日?明日?注射嫌だ~」と毎朝泣かれた経験があるので早すぎるのはお勧めしません(笑)。
終わったら、いっぱい褒めましょう!子どもと一緒に喜びましょう!!帰宅後も、子どもの前でほかの家族や保育園や幼稚園の先生にお話してあげてください。
「僕、今日注射頑張ったよ」「怖かったけど動かなかったよ!」「私、泣いちゃったけど頑張れたよ!」 きっと子どもも頑張れた自分が誇らしくて嬉しいのではないでしょうか?
来たときよりも胸を張って、軽い足取りで、誰かに早く報告したいという気持ちで帰れたら素敵ですね。家で一生懸命お話してきても、直前に駄々をこねることもあると思います。心配はいりません。子どもさんの覚悟が決まるまで待ちます。残念ながら涙々になることもあると思いますが、そのときは次に期待しましょう!
予防接種は連れていくのも一苦労の、憂鬱で面倒なものかもしれません。しかし親子で成長をともに喜べる機会でもあります。私たちもそのお手伝いができるよう頑張ります。
慶応義塾大学病院 小児科、大和市立病院 小児科、埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科、横浜市立市民病院 小児科、東京都立清瀬小児病院 小児循環器科。
日本小児科学会(小児科専門医)、小児循環器学会、日本外来小児科学会
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程 修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院(こうかんクリニックなど)
医学博士、小児科専門医、小児科指導医