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医院案内|川崎市幸区の小児科・皮膚科|ミューザ川崎こどもクリニック

こどもの新型コロナウイルスワクチン接種、どうすればいい?

海外の臨床試験のデータをもとに、わが国でも6 月 1 日から新型コロナウイルスワクチン接種の対象年齢が12歳まで引き下げられました。お手元に接種券が届いている方もいらっしゃると思います。新型コロナワクチン接種が必要かどうか、外来でもお問い合わせが増えてきました。こどもの新型コロナウイルスワクチンの接種を迷われている方が多いと思います。ここでは、日本小児科学会(※1)、日本感染症学会(*2)からの提言をもとにこどもの新型コロナウイルスワクチン接種の考え方についてお伝えしたいと思います。

 

まずは、大人がコロナワクチン接種をするのが重要です。

こどものコロナワクチン接種の議論の前に、こどもを新型コロナウイルス感染から守る最善の方法は、周囲の成人が新型コロナワクチン接種を行うことです。ソーシャルディスタンスをとることの弊害は、こどもたちにも出てきています。コロナウイルス感染を収束させ、こどもたちの生活を正常化させるためにも、まずは大人がコロナワクチン接種をするのが重要です。

 

こどもの新型コロナワクチン接種、絶対的な正解はありません。

ご存知の通り、小児においては新型コロナウイルスに感染しても無症状か軽症で済むことが多いです。ワクチンの接種は、感染した場合の重症化リスクと、ワクチン接種による副作用を比較して判断していくことになりますので、個人の置かれている状況により答えが変わってきます。

基礎疾患(※2 表11)のある小児の重症化が危惧されており、コロナワクチン接種により、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことが期待されています。基礎疾患のある方は大人同様に、小児もコロナワクチン接種が推奨されています。

健康な小児へのワクチン接種には、メリットとデメリットを本人と親御さんに十分理解していただき、医療機関によるきめ細やかな対応が必要になります。例えば、受験等の避けられないライフイベントの予定がある、高齢者と同居しているなどの事情がある場合は、コロナワクチン接種の有益性が上回ると考えます。また、現時点では小児は重症化しないですが、今後の感染状況が変わってくる可能性もあります。

 

こどもの新型コロナワクチン接種は集団ではなく、個別接種が望ましい。

主に中学生に当たる年齢でも、家庭内、学校生活、クラブ活動などを通じて感染がみられていますので、接種する意義はあると考えます。変異株の出現で小児の集団感染の報告もみられますが、日本小児科学会は、「現時点で変異ウイルスが子どもに感染した場合も、従来ウイルスより重症化する可能性を示す証拠はなく、多くが無症状から軽症で経過しています」 としています。このような状況の中で、発熱や局所腫脹などの副反応の頻度が比較的高い若年者に、長期的な安全性がまだ確立していないmRNA ワクチンの接種を進めるにあたっては、個人への丁寧な説明が困難な集団接種ではなく、医療機関における個別接種が望ましいと学会からは提言されています。

 

どんな副反応がある?

一般的に接種部位の痛みは程度の差はあれ、約90%の人にでると言われています。倦怠感や頭痛、発熱などの全身症状が約60%の方に見られていますが、若い世代ほど起こりやすいことがわかってきています。これらの症状は、必要に応じて消炎鎮痛剤の内服などで対処可能です。重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシー反応は、100万回あたり5回の頻度(ファイザー製ワクチン)で出現するといわれています。過去にアナフィラキシー反応を起こしたことのある方は、可能でしたら救急医療体制の整った病院での接種をお勧めします。

今回、若年者が対象になったことで懸念される副反応には「心筋炎」という症状があげられます。アメリカCDCの研究では約0.0005%の発症率とされ、頻度はかなり低いのですが、心臓の筋肉が炎症を起こし心機能が低下してしまうと、場合によっては重篤な副反応となり得ます。接種から数日以内に出現すると言われ、若い男性に多いことが統計的に明らかになっています(※3)。

また、将来不妊になるといったことがネットに書かれていることがありますが、これは欧米の研究にて明確に否定されています。インターネット上の情報は便利で有益なことが多いですが、必ずしも正しい情報でないこともありますのでご注意ください。

 

まとめ

こどもの新型コロナワクチン接種について、全てのこどもが接種すべきというような絶対的な答えはありません。個人の置かれている状況・環境により、ワクチン接種は個別の判断が必要です。よって集団接種ではなく、個別で本人・家族とで、しっかりとメリット・デメリットを話し合い、ワクチン接種前・中・後の細かいフォローを行うことが重要です。

当院では、夏休み期間を利用した学生向け接種外来を設置いたします。新型コロナワクチン接種についてご納得いただいた上で、ご予約をお取り下さい。接種についてご質問がある方は、ご予約を取る前に事前にクリニックにご相談下さい。

 

参考文献

※1

日本小児科学会 新型コロナワクチン    ~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~ 2021/6/16

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=374

 

※2

日本感染症学会 ワクチン委員会 COVID-19 ワクチンに関する提言 (第3版) 2021/6/16

https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2106_covid-19_3.pdf?fbclid=IwAR2qzT2rdMbJEunayKyqw1Z_lPHz6TwdW7qp7zOiUbLNnLf6hd3DuWYsPcc

 

※3 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/safety/myocarditis.html

院長 河野 一樹
記事監修
院長 河野 一樹

慶応義塾大学病院 小児科、大和市立病院 小児科、埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科、横浜市立市民病院 小児科、東京都立清瀬小児病院 小児循環器科。

日本小児科学会(小児科専門医)、小児循環器学会、日本外来小児科学会

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小児科顧問 三井 俊賢
小児科顧問 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程 修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院(こうかんクリニックなど)

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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