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雨の日が続いていますが、梅雨明けが待ち遠しいですね。街には活気が戻ってきているようですが、コロナが心配で外出できない・・・と、赤ちゃんの予防接種がそのままになっている方はおられませんか? 最近、一般的な接種時期よりも遅れて予防接種に来られる赤ちゃんが時々いるので、未接種のまま成長している赤ちゃんがまだいるのではないか、と心配しています。なお、川崎市全体では0歳、1歳は例年とあまり変わりませんが、3歳以降の日本脳炎、MR(2回目)はワクチン接種をコロナの影響で控えた人が多かったようです。3歳から5歳の子供さんもこのまま受けそびれることのないよう、はやめに接種してあげてくださいね。
今日は生後2か月から始まるヒブワクチンのお話をしたいと思います。ヒブワクチンはHib感染症(冬に流行するインフルエンザとは違うインフルエンザ桿菌という細菌です)を予防するためのワクチンです。Hibは後遺症を残すこともある細菌性髄膜炎の原因となります。10年以上前、私がいた病院でも年に数人は細菌性髄膜炎の患者さんが入院していました。小さな赤ちゃんが発熱、意識がもうろうとしてウンウンうなっている状態で運ばれてきます。数時間前までは元気にミルクを飲んでいた赤ちゃんです。1分でも早く、と緊急で治療を始めますが、残念ながら皆が完全に回復するわけではありませんでした。当時、アメリカではワクチン導入により髄膜炎が激減したと既に報告されており、早く日本にも導入してほしいと思っていました。その後、日本でも2008年4月から定期接種として自己負担なしでワクチンが接種できるようになりました。その結果、Hib髄膜炎の発症は2014年以降ほとんどゼロとなっています。
新型コロナウイルス、すなわち免疫のない新しい感染症は恐いですね。しかし、子どもの命と順調な成長を奪う怖い病気は他にもたくさんあるのです。現時点ではコロナを避けるメリットよりもワクチンを延期するデメリットの方が圧倒的に大きいと思います。このブログを読んで一人でも多くの子供たちが、ワクチンを予定どおりに接種してくれることを願っています。
慶応義塾大学病院 小児科、大和市立病院 小児科、埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科、横浜市立市民病院 小児科、東京都立清瀬小児病院 小児循環器科。
日本小児科学会(小児科専門医)、小児循環器学会、日本外来小児科学会
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程 修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院(こうかんクリニックなど)
医学博士、小児科専門医、小児科指導医