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医院案内|川崎市幸区の小児科・皮膚科|ミューザ川崎こどもクリニック

「スマホ脳」と起立性調節障害(OD)外来

鮮やかな緑を吹き抜ける風が本当に心地よい季節になりました。コロナの影響で自宅に籠る時間が増えているでしょうか。今日はOD外来で日々感じていることについて書いてみたいと思います。

 

OD外来には、朝起きられない、だるい、たちくらみがひどい、頭痛、腹痛などで学校に行くのがつらい子どもたちが沢山来ています。十分な水分と塩分の摂取など生活における工夫の話、投薬なども行いますが、生活リズムの見直しが治療の中心になる例が最近は特に増えています。ODは「なまけ病」ではありませんし、生活リズムを改善すれば治るという単純なものでもありませんが、睡眠不足が症状を悪化させることは確かです。そして、生活リズムの乱れにスマホが関与しているケースが多いと感じます。夜間も自室にスマホを持ち込んでいる場合、消灯後も動画を見たり、LINEをしたり、音楽を聴いたり、深夜まで使用している場合が珍しくありません。睡眠不足では誰しも(OD症状のない大人でも!)朝の倦怠感、頭痛などが出てきますので、もともとその傾向のある子ではひとたまりもありません。そのようなわけでOD傾向がある子どもさんにとって、生活リズムのキープ、特に十分な睡眠時間の確保は大切と考えています。

 

ほかにOD外来に来ている子どもたちと話して気になること・・・PHSやガラケーを使っていた10年以上前と違い、最近はODに対する学校側の理解も進み「先生も友達も自分の症状を理解してくれていて受容的。学校が嫌なわけではない」という子どもが殆どです。その一方で、学校は体調が思わしくないのに無理していくほど魅力的な場所でもないようです。コロナの休校期間に加速した体力低下、それに続く体調不良と気力の低下・・・それがOD症状に拍車をかけているようにみえます。急速なデジタル化が大きく影響している気がしてなりません。

 

最近、書店で平積みされている「スマホ脳」を読んでみました。自分が外来をしながら薄々感じていたことが科学的な根拠をもって書かれていて、大きな衝撃を受けました。スマホにはドラッグのような依存性があるというのです。精神面への影響も指摘されているようです。私自身もスマホ時間の増加、集中力の低下、不安感の増大を自覚していましたので、今は意識的に使用を減らしています。大人ですら依存するのですから多くの子供にとって使用を自分で制限するのは難しいでしょう。

現代の生活にスマホは必需品といっても過言ではないと思います。でも、もしも既に学校生活に支障をきたしはじめているのだとしたら・・・寝室にスマホをもって入るのだけはやめてほしいと切に思います。

「スマホ脳」をご家族で一読されることをお勧めします。制限をかけることに反発が大きい年頃の子でもスマホとの付き合い方を自発的に考え直すかもしれません。

このブログがスマホとの付き合い方を親子で一緒に考えてみるきっかけになると嬉しいです。

院長 河野 一樹
記事監修
院長 河野 一樹

慶応義塾大学病院 小児科、大和市立病院 小児科、埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科、横浜市立市民病院 小児科、東京都立清瀬小児病院 小児循環器科。

日本小児科学会(小児科専門医)、小児循環器学会、日本外来小児科学会

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小児科顧問 三井 俊賢
小児科顧問 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程 修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院(こうかんクリニックなど)

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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