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医院案内|川崎市幸区の小児科・皮膚科|ミューザ川崎こどもクリニック

たかが蚊に刺され、されど蚊に刺され

8月に入り日差しが一段と強くなった気がします。夏本番ですね。このところ「虫刺され」で受診される子供さんが増えています。今日は身近な「蚊にさされ」ついて書いてみたいと思います。

蚊は国内に200種ほどいるらしいのですが、その中で人から吸血するのはアカイエカ(夜に吸血する)、ヒトスジシマカ(草むらなどにいて昼に吸血する)などです。

刺されてすぐの反応は、かゆみのある赤い膨らみで1~2時間程度で軽快します(即時型反応)。翌日になるとかゆみのある赤く硬いブツブツが出てきます(遅延型反応)。時にはその頂点に水ぶくれができることもあります。

これらは刺された時に注入される蚊の唾液に対するアレルギー反応です。これは蚊の唾液が体内に入り「抗体」が出来ることにより起こりますので反応は年齢によって違います。生まれたばかりの赤ちゃんでは無反応、小さな子供の頃は遅延型反応のみ、成長につれて即時型反応と遅延型反応の両方が出るようになり、大人になる頃には即時型反応だけ、さらに年齢を重ねると再び無反応になります。しかし、体質や刺される頻度にも個人差があるので、遅延型反応しか出ない人が「若い」というわけではなく、刺される頻度が多い場合には早い時期に無反応になることもあるようです。

アカイエカは寝ている間に吸血にきます。即時型反応が出る人は刺されたときにかゆみで目が覚めますが、遅延型反応しか出ない人は翌日になってからかゆみを伴う赤みに気が付くので、原因に気付かないことが多いのです。小さな子供ではこの遅延型反応しか出ないことが多いので、朝起きた時に手足や顔(お腹を出して寝ていたらお腹にも!)にたくさんの赤いブツブツを発見し、原因が分からなくて驚くことが多いのですね。

かゆみが強いと我慢できず掻いてしまいます。しかし、掻いた刺激で痒み物質が放出され、さらにかゆくなってしまいます。刺されたらすぐに市販のかゆみ止めを塗ってあげるとよいでしょう。

掻き壊してしまうと、そこから細菌が入って「とびひ」になることがあります。その名のとおり火事の飛び火のようにあっという間に体のあちこちにジュクジュクしたただれや水ぶくれが広がります。人にもうつります。治療には細菌をやっつけるための抗菌薬(飲み薬、塗り薬)、必要に応じてかゆみを抑える薬も使います。ひどくならないうちに治療すれば早く治りますので「あれ?」と思ったら早めに受診するようにしてください。爪もふだんから短く切っておきましょう。

そのほか傷から入った細菌が皮下組織で増殖して「蜂窩織炎」という病気になることもあります。虫刺されのあとが赤くパンパンに腫れて触ると熱くて、痛がります。発熱することもあります。こちらも治療は抗菌薬の内服ですが、重症化すると抗菌薬の点滴のため入院となることもあるので注意が必要です。

子どもの場合、蚊に刺されるとひどく腫れて水ぶくれができることがあります。そのため「蚊アレルギーでは?」と受診される方がおられます。蚊に刺された痕が潰瘍になったり、高熱が出る場合は詳しい検査が必要ですが、そうでなければ心配はいりません。

最後になりますが予防も大切です。室内に蚊が侵入しないよう網戸を常に閉める、寝室の蚊は就寝前に殺虫あるいは防除しておく、外遊びでは虫よけを使用、肌の露出を少なくするなど出来るだけの対策をして、蚊の多い夏を乗り切りましょう。

院長 河野 一樹
記事監修
院長 河野 一樹

慶応義塾大学病院 小児科、大和市立病院 小児科、埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科、横浜市立市民病院 小児科、東京都立清瀬小児病院 小児循環器科。

日本小児科学会(小児科専門医)、小児循環器学会、日本外来小児科学会

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小児科顧問 三井 俊賢
小児科顧問 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程 修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院(こうかんクリニックなど)

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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